もういいやっていう投げやりな気持ちでいたのに、まさかの。
でもそりゃ、接客業してるんだから、愛想いいに決まってる。
あんな、小さくて壊れそうな母親、ほっとかないよなぁ〜そりゃ。
わたし、いい子過ぎ?
世の中を知らなさ過ぎ?
見たいものを見ているだけ?
***
亭主関白、だから何?
彼とずっと一緒にいたいって、その気持ちは感情?愛情?
恋心?
これがなくなれば、残るは理性。
理性でみても、彼を愛せる?
心が折れそうになった時、また飛びたくなった時、これをみたら、わたしは飛ぶのを思い止まれるのだろうか。
そこまではわからないけれど。
彼の技術は本物だった。
それだけは確か。
その確信が持てただけでも、またこの田舎の大型店に来たことも、慣れ親しんで、嫌で嫌で仕方なかったこの商業施設に来たことも、嗚咽しながら泣いたことも、すべて価値があった。